前回は架空の本の表紙でしたが、こちらは実際のお仕事の本、見本誌が送られてきたので紹介しておきます。

 左の方はイラストだけ担当しました。デザインは別のデザイナーさんです。『新しい電気回路<上>』松澤昭・著(講談社サイエンティフィク)です。

 右の方は以前からシリーズでイラスト・デザインをさせていただいているテキスト本です。『オンラインコミュニケーション講座』山崎紅・著(日経BP)

 イラストだけ取り上げるとタッチが全然違います(小さいとちょっとわかりずらいですが)。オンライン〜の方はシリーズで初めから抽象的、またはそぎ落としたシンプルなカタチのイラストでやっていて、半分デザインの範疇のイラストっていう感じです。今回の「コミュニケーション」のテーマでは最初はもっと抽象的な案を出していたのですが、リクエストがあってよりわかりやすい絵になりました。『電気回路』の方は結構微妙なタッチや影を入れたり、発光ダイオードが光っているところなど、わりとしっかり描いています。
 『電気回路』の方は<下>も今後出る予定で、こちらのイラストも描かせていただきました。

 イラストを担当しています、池上彰さんの本「知らないと恥をかく世界の大問題11」が6月10日に発売になります。昨年と同じポジションで写真を撮りました↑。

 あいかわらずイラストの登場人物としてはトランプ大統領が一番多いです。トランプ、習近平、プーチンあたりはもう何回描いたかというくらい描き慣れたのですが、今回初めて描いた、上の写真のグレタ・トゥーンベリさん。今回一番試行錯誤したかもしれない。ある程度大きく描くので、もっと描き込むことができるし、そうすればもっと似させることもできるのですが、そうすると他のイラストとの整合性(一貫性)が無くなってしまう。という判断で、最小限でそんなに似てないかもしれないけど「まぁわかるね」というところでとめました。

 デザインのお仕事で、マンションの修繕の広告企画があって、いつものようにこれといったビジュアル材料がなかったので自分で作りました。もう何度か仕事でも使っているのですが、今回もサイコロ積み木CGソフトのmagicaVoxelでマンション(修繕中と修繕後)を作りました(上画像)。修繕中の網シートの再現ですが、最近このソフトで使えるようになった「cloud」マテリアルを使いました。透け感が出るマテリアルです。

 これはもう刷り上がっていて、今日発売の雑誌なんですが、実際の誌面では見開き全体に右ページに修繕中(黄緑バック)、左ページに修繕後(紺バック)というデザインにしました。


 カバーをデザインさせていただいた本が明日2月29日に発売になります。
大学の自治と学問の自由」寄川条路編著(晃洋書房)。


 ↑こういう感じのカバー(この画像はCGです)。今回の帯の紙はOKブリザードといういわゆるハトロン紙にしてみました。透け感があって、片面だけツルツルした紙で、包装紙や紙袋にも使われる紙です。なかなか良い感じになりました。

 カバーのイラストは2D(平面)っぽく見えますが、実は前の「雪化粧の杉」記事でも使っている3Dのソフトで作りました。ぐるっと別角度からみたのがこれです↓


 空の色をピンクに設定して真正面からレンダリングして、カバーイラストを制作しました。俯瞰して見るとしょぼいのですが、実際に見える部分だけちゃんと作ればいい、見えない部分はどうでもいいということでこれでいいのです。

 昨年末、名刺のデザインの依頼をいただきまして、印刷は活版印刷でということだったので、年明け早々に印刷会社さんにお願いして、でき上がってきました。

 活版印刷では印刷所にある「活字」を一字一字組んでもらうやり方と、こちらでコンピュータでデータとしてデザインを作ってしまって、それを元にして丸っと凸版を作ってもらうやり方があります。前者では、古くからある活版活字独自の書体を使うことと、一字一字の組み込みによるほんの僅かな傾きやズレなどが味となって、活版らしさが存分に発揮される良さがあります。一方で、文字の大きさや字間、揃えなどを全部が全部コントロールできないため、細かな位置決めのあるデザインの場合は、後者のデータから版起こしの方法を取ります(部分部分で使い分けるということもできます)。今回は位置の揃えをキチッとやりたいデザインなので、後者の方法になりました。

 お名前のフォントはモリサワの「秀英にじみ明朝」というフォントで説明によると〝活版印刷による紙面上でのインクのにじみを再現した書体です〟というもの。なので、活版印刷のにじみを再現したフォントを活版印刷に使うとどうなるのか?という試みとなりました。結果、実際にじみの具合は僅かなものなのでシャープ過ぎない〝いい具合い〟のアナログ感が出て良かったです。