ずっとシリーズで毎年刊行されている池上彰さんの新書「知らないと恥をかく世界の大問題」。シリーズ通してイラストを描かせていただいています。今年も6月10日に発売になりました。

 今年は副題にある通りトランプばっかり描いた気がする。ざっと数えて全20個中8個にトランプを描いた。昨年のこの本の発売時には「トランプは結構描きやすいのだけど大統領には絶対になるべきではないと思っています」とブログに書いていたのだけれど、本当に再選されてしまった。世界にとっての大惨事です。
 ちなみにイーロン・マスクもこの本とは関係なく自主的にイラストを何度か描いていたのだけれど、今年はこの本でもついにマスクを描いた。

 前回の投稿で大正〜昭和のたてものを3DCGで作ったものをアップしましたが、ツイッター(X)のでも「#magicavoxel」のタグで海外のたくさんの人が作品をあげています。 

 その中でたまたま目に止まったのがこちらの投稿。投稿者のvoxelonaさんはこのソフトの達人の使い手で、おそらく中東圏の人だと思う。というのもこの投稿のようなペルシャ風の建物をよく作っているから。

 この投稿に添えられてた文章がこちらです

私は古いペルシャの家の雰囲気が大好きです。隅々まで温かさと魂と物語が溢れています。

 これを見て僕が前々から考えていることー表題の「芸術には “懐かしさの記憶” が深く関わっている」 ーをあらためて確信した。

 芸術というのは簡単に言うと「受け手の心を揺り動かす力」だと思っている。だとすれば、受け手によって心の動かされ方が違うのは当然で、その中で重要になってくるのがその人の記憶、特に「懐かしさの記憶」だと思う。

 僕が前回あげた日本の古いたてものに「なんかすごくいいな」と思うのも「懐かしさの記憶」が多く関係しているはずで、それと同じようにvoxelonaさんも「隅々まで温かさと魂と物語が溢れています」と言うくらいペルシャ風のたてものにそういう懐かしさを感じているはず。


 ちなみに、前回投稿した「旭川運送社」の作品☝️もツイッターにアップしたのだけど、海外の人がどう見るか?が予想できなかった。「日本的な懐かしさ」が海外の人に共感されるのだろうか?と。たとえばジブリの「千と千尋の神隠し」に出てくる看板建築の廃墟の商店街みたいなシーンにすごくノスタルジーを感じるけれど、海外の人はあれをどう感じるんだろうとか。とはいえ、ジブリ映画が海外でもすごく人気があるのは、日本的懐かしさの中にも、どこか共感される普遍的な懐かしさ要素はあるのだと思う。

 実際、僕のツイッターの投稿にも「いいね」をたくさんもらったのですが、多くは海外の人からだった。こういうところはとても興味深い。


 前の投稿の「3DCGで寄棟屋根を作る」件、一応完成↑。

 古い写真(旭川運送社の昭和9年頃の写真)から立体建物を組み上げていく。できるかなー?難しいかなー?と思ったけど、なかなか良い感じにできたと思う。

 前の投稿の通り、寄棟屋根(縦・横方向に屋根の傾斜がある構造)は簡単なプログラムを書いて作った。

 サイコロ🎲を積み上げていくようなソフトなのだけど、今回は1サイコロ=5cmの想定。このスケールは自分で決めるもので、「もっと細かくするぞ!(1サイコロ=1cmとか)」と決めれば細部をもっとリアルに作り込むことができる。けれどもその分データが重たくなるし、そもそもそれではこのソフトで作る良さが失われる。僕はそれは本末転倒だと思っている。粒を粗く設定しても「おー!なんかそれっぽい」と見えるというのがこのCGの魅力で、そのいい感じに見える粒々感をどのくらいにするかも面白いところです。こういう建物の場合1サイコロ=5cmがいいのではないかなと思う。

 細かい部分、自転車や大八車が粗いながらも「なんかそれなりにそれっぽく見える!」となり、全体を引き立てている。

 上の画像は正射図法で描き出したもので遠近感が出ない感じになる(僕はこのミニチュアっぽい感じが好き)。



 一方こちら↑はパースをつけて書き出した画像。遠近感があり、そこに立って見ている臨場感、リアル感が出るタイプです。3DCGなら簡単に両方描き出せます。


 サイコロ🎲を積んでいくように3DGCを作るMagicavoxelというソフトがあって、これまでも色々作ってきた。今このブログのタイトル背景にしている雪山もこのソフトで作ったものです。

 今また新しいものを作っているのですが、そこに出てくる瓦屋根。これをどうやって作るかを考えていた。

 屋根の構造の種類は色々あって、一番すぐ思いつくのはいわゆる三角屋根でしょう。これは「切妻屋根」なんていいます。一方、今作っている建物の屋根は上の画像のグルグル回っているやつ。縦方向と横方向の両方が斜めになっている屋根。これもわりとよく見る屋根だけど、これの名前は「寄棟(よせむね)屋根」と言うそうです。そもそも屋根の構造の種類なんて普通あまり意識しないのだけど。ところが分類や名前を調べてみると面白くて興味が出てきた。

 さて、このソフトでこの形状を作るのはちょっと面倒。ただの三角屋根なら簡単にできるのだけれど・・・。しかもできれば瓦に見えるような波々の質感も出したい・・・。となると、これはもうプログラムを書くしかない。このソフトは簡単なプログラム(shader)を書いて立体モデルを生成することができるのです。これまでも木とか山とかをプログラムで作っていたので、またプログラミングでやってみた。

 プログラムの中身を説明してもキリがないので割愛しますが、できたのが上の画像の屋根。屋根の傾斜や瓦のピッチなどをパラメータで変更できるようにしている。

 これで屋根はなんとかできたので、続きを進めて行こう✊🏻