前に「認知特性というものがあって、人が世界をとらえるとらえ方って結構人それぞれ違うのだ」という話を書きました。こちらの記事です「文字式認知」

 以前の記事にも書いた通り、人の認知特性は「視覚優位」「言語優位」「聴覚優位」の大きく3つに分類されていて、グラデーションはあるけれど、人それぞれ3つのタイプのうちどれかに分かれるということです。僕自身は完全に「視覚優位」だと思っています。しかしよく考えると、この3つが同等に扱われるのは少し違和感があって、「言語優位」というのは他の2つとはレベルが異なると思うのです。「視覚」と「聴覚」は字のごとく「感覚」であるのに対して、「言語」は人が生み出した符号で、認知のレベルでは一段解釈が上っている。図にするとこういうこと↓


 「言語優位」の特性を持った人はおそらく幼少期から本を読むのが好きだったりして、物事を言語に変換する変換辞書が頭の中で編纂されていて(上の図の赤い矢印)、さらにクイックレスポンスで意識する間もなく文字変換がされる高機能辞書なんだと想像します。そのために文字(言語)を介した方が理解がしやすいという認知になっているのだと思います。

 さて、それでこの前イラストの仕事をしていてふと上のようなことを考えたのですが、僕のようなイラストレーターなんかはまずほぼ全員「視覚優位」の人だろうと思います。とにかく「絵で見えた方がわかりやすいでしょ!」と。文章を解釈して、これをどう絵にすればパッとわかるかと考えてイラストにしています。まさにこのブログ記事にもわかりやすいようにと図やイラストを付けているわけです。ところが、世の中には「言語優位」という人がいるんだ!ということに気がついたのです。絵の方がみんなわかりやすいよねと思っていたけど、「いや文字の方がスッと入ってくる」という人もいる。これはイラストというものの前提を揺がすものです。

 せっかく中継に入ったのに(文字から絵に)、あさっての方向に投げてる感じ・・・。
 たぶん言語優位の人はそんなに多くはないんだろうな…と予想するのでそれが救いではあります。

 イラストを担当しています、池上彰さんの本「知らないと恥をかく世界の大問題11」が6月10日に発売になります。昨年と同じポジションで写真を撮りました↑。

 あいかわらずイラストの登場人物としてはトランプ大統領が一番多いです。トランプ、習近平、プーチンあたりはもう何回描いたかというくらい描き慣れたのですが、今回初めて描いた、上の写真のグレタ・トゥーンベリさん。今回一番試行錯誤したかもしれない。ある程度大きく描くので、もっと描き込むことができるし、そうすればもっと似させることもできるのですが、そうすると他のイラストとの整合性(一貫性)が無くなってしまう。という判断で、最小限でそんなに似てないかもしれないけど「まぁわかるね」というところでとめました。

 デザインのお仕事で、マンションの修繕の広告企画があって、いつものようにこれといったビジュアル材料がなかったので自分で作りました。もう何度か仕事でも使っているのですが、今回もサイコロ積み木CGソフトのmagicaVoxelでマンション(修繕中と修繕後)を作りました(上画像)。修繕中の網シートの再現ですが、最近このソフトで使えるようになった「cloud」マテリアルを使いました。透け感が出るマテリアルです。

 これはもう刷り上がっていて、今日発売の雑誌なんですが、実際の誌面では見開き全体に右ページに修繕中(黄緑バック)、左ページに修繕後(紺バック)というデザインにしました。


 カバーをデザインさせていただいた本が明日2月29日に発売になります。
大学の自治と学問の自由」寄川条路編著(晃洋書房)。


 ↑こういう感じのカバー(この画像はCGです)。今回の帯の紙はOKブリザードといういわゆるハトロン紙にしてみました。透け感があって、片面だけツルツルした紙で、包装紙や紙袋にも使われる紙です。なかなか良い感じになりました。

 カバーのイラストは2D(平面)っぽく見えますが、実は前の「雪化粧の杉」記事でも使っている3Dのソフトで作りました。ぐるっと別角度からみたのがこれです↓


 空の色をピンクに設定して真正面からレンダリングして、カバーイラストを制作しました。俯瞰して見るとしょぼいのですが、実際に見える部分だけちゃんと作ればいい、見えない部分はどうでもいいということでこれでいいのです。