話題の「覚え違いタイトル」の本をCGで作ってみました。

『とんでもなくクリスタル』村上春樹は実際には無い本ですので、初期村上春樹本にありそうな感じのイラストを描き、装丁をデザインしてみました。

 一方、『桐島、部活やめるってよ』は本物のカバーデザイン(左)とタイトルだけ〝覚え間違い〟のものに変えてみたもの(右)を並べました。間違って覚えてしまったタイトルなのでおかしいのはおかしいのですが、最初からこういうタイトルだったらこれはこれで成立しているのではないかと思った。

 元の記事はこちら「とんでもなくクリスタル」「おい桐島、お前部活やめるのか?」福井県立図書館の「覚え違いタイトル集」が面白い – Togetter

 SF作品の設定で僕がことにわくわくするのが「スケールが極端にでかい(小さい)」というものです。小松左京の作品でもよく使われます。例えば「高さ200km、直径1000kmのリング状物体が本州の上に落ちてきた」(『物体O』)とか、「長さ二光年の筒状物体SS」(『虚無回廊』)とか。新海誠のアニメ作品「雲のむこう、約束の場所」では北海道の真ん中に先端が見えないほど天まで伸びる白い塔が建っています。このような極端なスケールのものが突如として現れる感じがすごく惹かれます。
 そんなこともあり、ふと「富士山がとてつもなく高かったら」という設定を思いつきました。10倍の高さだと3万8000mくらい。40km弱か。
 CGで作ってみよう!と思いつき、まずは等高線のデータを作れる埼玉大学の研究室のウェブページへ。そこで等高線データをゲットし(↓左)、さらにIllustratorで扱えるようにデータ変換をしてくれる海外のウェブページで変換。次にIllustratorで等高線ごとに濃淡を指定していきます。これでグレースケールのハイトマップというものができます(↓右)。ハイトマップは高い方を白くしなければならなかったので、後で白黒を反転しました。


 ハイトマップをPhotoshopで開いて富士山の部分だけ真っ白までのグラデーションになるように調節。その他の部分はほとんど黒っぽくなるように濃度を調節します。そして、ハイトマップをブロックを積み上げたような立体にしてくれる3DソフトMagicaVoxel Viewerで読込んで立体化しました。
 高さ方向のスケールは適当で厳密ではないのですが、見た感じ富士山の高さは40〜50kmくらいありそうです。こんな設定で何かおもしろいSFは書けるでしょうか?

 お世話になっている建設会社さんの紹介小冊子をデザインさせていただきまして、先日でき上がってきました。20ページ、中綴じ。表紙はマットPPにしています。↑これはCGで作った画像です。3Dソフトcheetah3Dの制作画面はこんな感じです↓。


 床・壁・天井を作って、天井にはダウンライトを仕込んでいます。壁には切文字のロゴをスタッドで壁から少し浮かして配置しました。

 表紙の絵柄の素材が無くて悩んだのですが、屋根の垂木が並んでいるイメージを幾何学的にデザインしてみました。ちょっと最初のアイデア段階のスケッチをばらしますと、こんなのです↓。


3Dモデルをグルグル動かせるように表示するのを導入してみました。画像の上をドラックしてモデルを回したり、マウスホイールで拡大縮小などができます。wordpressのプラグイン「canvasio3D」というもので実装しています。前回の投稿と同じメタセコイアの実ですが、前回投稿ではきちんとレンダリングしているので、表面の質感など細かくリアルな画像ですが、今回のは生の3Dモデルのままなので実物感はあまり出ませんね。

 植物の造形は魅力的で、どうなっているのか構造を知りたいし、できたら3Dで作ってみたいと思っています。前に3Dで作ったのがたんぽぽの綿毛です(こちらのリンク)。今回また挑戦したのが松ぼっくりの一種で傘が少ないのですが、一番好きなメタセコイアの実です。これをcheetah3dでモデリングしました。前から作りたいと思っていたのですが、面倒くさそうなので避けていました。


 傘の構造は1段2枚が互い違いに重なっていて、傘が閉じると切れ目がピッタリと閉じて(切れ目がハニカムパターンになる)ボールのようになるのがわかります。ちなみに松ぼっくりは湿度が高くなると傘を閉じ、乾燥すると傘が開きます。
 このような複雑だけど良くできた造形がすごいと思いますし、どういった仕組みでそうなっているのか、できたら数学的理屈が知りたいと思っています。